(INTERVIEW)
【INTERVIEW】Local Visions POPUP-STORE
現代の表現者が日本文化と出会い直し、自らの表現と伝統を結びつけることで、「未来のオーセンティック」を生み出す実験場(ラボ)として立ち上がったSHUTL。2023年10月のオープンから多種多様なアーティスト/クリエイターの方々と、新しい表現やカルチャーを発信しています。
今回は、2024年4月11日(木)〜13日(土)の3日間【Local Visions POPUP-STORE】を開催したLocal Visions(ローカル・ヴィジョンズ)のレーベルオーナーsute_acaさんとTsudio Studioさんにメールインタビューを行い、「ポスト・ヴェイパーウェイヴ以降のポップ・ミュージック」をテーマにしたインターネット音楽レーベルLocal Visionsについて、そしてSHUTLでの展示の感想など、お話を伺いました。
Local Visionsが生まれた経緯
お一人ずつ、自己紹介をお願いします。
sute_aca:島根県出雲市在住。音楽レーベル〈Local Visions〉主宰。レーベル活動としては、これまでに50タイトル以上の作品をリリース。東京や大阪などでイベントも開催している。個人名義では、「ele-king」「ユリイカ」に寄稿を行うなど活動は多岐にわたる。
sute_aca
Tsudio Studio:兵庫県神戸市出身・在住。<メディアファクトリー>からデビュー後、2018年に
Local Visionsを立ち上げた経緯を教えてください
sute_aca:Local Visionsは2018年に僕が始めた音楽レーベルです。僕は島根県の出雲市に生まれて今も暮らしているんですが、人口の少ない地方都市では共通の音楽が趣味の仲間や友人もおらず、部屋でひとりで音楽を聴いたり、音楽のレコードやカセットテープをコレクションしたりしていました。自分の好きなことをインターネットやSNSを通じて発信していくうちに、日本全国や世界に多くの友人や仲間ができました。その中には、創作活動として音楽を作っている人たちがたくさんいました。彼・彼女たちの作る音楽の魅力を発信していきたいと思ったことが、Local Visionsを立ち上げた大きなきっかけです。
Tsudio Studio:私は2024年からLocal Visionsの共同運営としてレーベル運営に参加しています。
これまでどんな活動をされてきたか、ご紹介ください
sute_aca:2017年くらいから「MASSAGE MAGAZINE」や「ele-king」といったウェブメディアで、Vaporwaveと呼ばれる音楽ジャンルについての寄稿を行ってきました。2019年に出版された『新蒸気波要点ガイド』というVaporwaveに関するガイドブックや、月刊誌「ユリイカ」のVaporwaveの特集に参加するなど、レーベルを立ち上げる以前は執筆活動をメインで行っていました。Local Visionsを立ち上げてからは、アーティストの発掘や音楽リリース、イベントに関する作業やCD、レコード、カセットテープを制作するための作業などインディー・レーベルとしての活動を行っています。
Tsudio Studio:2018年にLocal VisionsからアーティストとしてPort Islandという作品をリリースした後、レーベルメイトやシティポップ・AOR好きのディガー集団lightmellowbuとの交流の中で自分たちでイベントをやりたいね、ということになり、Local Visionsの主にイベント面での運営のお手伝いをしてきたのですが、2024年に改めて共同運営という形で正式に関わることになりました。共同運営発表後の最初のイベント「視覴的」を東京・渋谷CIRCUS Tokyoにて4月13日に開催し、その主催をsute_acaと共同で行いました。
Tsudio Studio『Port Island』
ヴェイパーウェイヴから紐解く、Local VisionsとSHUTLの親和性
SHUTLで展覧会をおこなうことが決まった時、どのように思われましたか?
sute_aca:中銀カプセルタワービルを活用したSHUTLというスペースのことは以前から存じ上げていましたが、まさか展示が開催できるとは思わなかったので驚きと喜びがありました。
Tsudio Studio:自分がLocal Visionsの共同主催になって初のイベント(「視覴的」※CIRCUS TOKYOでのイベント)のちょうど前の日程で展示できるとお話をいただいて、Local Visionsやそのイベントについて知ってもらえるとてもいい機会になると思いありがたかったです。個人的には中銀カプセルタワービルのカプセルに以前から興味があったのでその中でLocal Visionsの作品を展示することができるのは光栄だと思いました。
写真:upusen
写真:upusen
写真:upusen
写真:upusen
SHUTLでの展覧会の率直な感想をお聞かせください
sute_aca:僕は残念ながら仕事の都合で展示を訪れることはできなかったんですが、SNSにアップされた来場者の皆さんの写真や動画などを拝見し、本当に展示を開催して良かったなと強く思いました。Local Visionsは音楽はもちろんですが、それと同じくらいジャケットのアートワークや映像などビジュアル面にも力を入れて制作しています。デザインを工夫して仕上げたLocal Visionsのフィジカルと、SHUTLという空間が調和した素晴らしい展示だと画面越しに感動したのを覚えています。
Tsudio Studio:アーティスト目線で言うと、中銀カプセルタワーのカプセルの中で自分の作品が展示される日が来るとは思ってもいなかったので感動しました。また今回の展示はLocal Visionsのリリースを振り返る良い機会にもなり、今までの自分の活動や、レーベルの歴史を思い返して感慨深かったです。
写真:TOMC
写真:TOMC
CIRCUS TOKYOでのレーベルショーケースの期間内にSHUTLで展示をしていただきました。何か相乗効果やお客様からのリアクションなどありましたか?
sute_aca:レーベルショーケースに訪れた来場者の方から感想を聞かせてもらうことが多々ありました。好意的な感想ばかりでとても嬉しかったです。
Tsudio Studio:開催時期が近かったこともあり、両会場ともに足を運んでくれた方も多くいらっしゃった事が嬉しかったです。自分は期間中1日だけ在廊する事ができたのですが、Local Visionsのファンの方や友達とゆっくり交流できました。「明日のイベントも行きます!」と元気に伝えてくださった方もいらっしゃって励まされました。おかげさまで直後のライブも盛況で終えることができ感謝しています。
SHUTLは、「伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場」をコンセプトとしていますが、今回の展示において、「新しい試み」や「実験」をすることはできましたか? SHUTLのコンセプト/空間と、Local Visionsさんのコンセプト/取り組みに共通するところや共感するところはありますか?
sute_aca:SHUTLの「伝統と現代の新たな接続方法を生み出す」というコンセプトは、ゼロ年代にインターネットで流行した「Vaporwave」という潮流に近しいシンパシーを感じます。Vaporwaveは、古い80年代の流行歌や、子どもの頃に親しんだゲーム音楽という伝統的なポピュラー音楽をサンプリングし、それを現代の価値観で独創的なビジュアルデザインと掛け合わせている特徴があります。そんな懐かしくも新しいVaporwaveのサウンドやビジュアル、コンセプトにLocal Visionsは大きな影響を受けました。ポップスやジャズ、アンビエントといった脈々と受け継がれてきた音楽を、インターネット以降の価値観でパッケージしたLocal Visionsの作品とSHUTLの空間はとても調和していましたし、SHUTLのコンセプトや取り組みについても大きく共感しています。
Tsudiio Studio:SHUTLはガラス張りの開放的な空間の中にカプセルというある意味閉じられた空間が内包されているところが面白いと思いました。開かれたポップミュージックの形態をとりつつ、少しひねくれた音楽性を隠しもつ個性的なミュージシャンを多くラインナップするLocal Visionsにぴったりの空間だと思いました。
写真:Tsudiio Studio
写真:Tsudiio Studio
写真:Tsudiio Studio
写真:Tsudiio Studio
これからのSHUTLに期待することなどあれば、お聞かせください
sute_aca & Tsudio Studio:今後も我々のようなインディペンデントな活動をしている団体や個人の発表の場であってほしいと思います。SHUTLの特別な空間を生かした展示会と音楽が融合したイベントも期待しています。そういった企画も今後一緒に実現できたら嬉しいです。
写真:ちゃんけー
写真:ちゃんけー
写真:ちゃんけー
写真:ちゃんけー
Local Visionsのこれからのプロジェクトや展望など、お聞きしたいです
sute_aca:アーティストの皆さんも主催の僕らもみんながそれぞれの生活を第一に、細く長くLocal Visionsを続けていけたらいいなと思います。
Tsudio Studio:今後も定期的にイベントを企画してLocal Visionsの音楽を通じてファンの方々が交流できるような場所や時間を作っていきたいです。
最後にお伝えしたいことがあれば、お願いします
sute_aca & Tsudio Studio:今年のLocal Visionsはリリースやイベントの開催など今までに増して活動的になってきています。素晴らしい作品のリリースやシャイな人でも楽しめるイベント作りを目指していきます。ぜひ今後も注目していただければ嬉しいです。今回展示を提案していただき、運営していただいた黒田さん、SHUTLのスタッフのみなさま、ご来場くださった方々ありがとうございました!
ありがとうございました!
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