ONLINE STORE

Contact 👉

(INTERVIEW)

【INTERVIEW】ミヤオウ(meow) Solo Exhibition「YUME EXPO」

ミヤオウ(meow) Solo Exhibition「YUME EXPO」が、2025年1月10日〜1月19日にSHUTLにて開催されます。meowさんは空間や心、それらの関係をCGやドローイング、音楽などで表現するアーティストです。今回の展示では、カプセルのあるSHUTLの空間を活かし、meowさんの思う「夢の万博」を作り出していきます。展示にあたっての抱負を伺います。

 

インタビュー:meow(ミヤオウ)

ライティング:小倉 ちあき

アーティスト meow について

アーティストmeowさんの、主な活動領域について教えてください。

meow:主に3DCGモデリングツール・Blenderを使って空間のビジュアル作品を制作しています。アートワークでは、音楽アルバムのジャケットやフライヤー、CD・LP・カセットテープのデザイン、最近ではVtuberさんの配信背景空間なども手掛けています。また、2019年より音楽制作もスタートしていて、1月11日にはインターネットレーベル・Local Visionsより1stアルバム「YUME」をリリース予定です。

2024年内の活動で思い入れのあるものについて、教えていただきたいです。

meow:2024年1月11日に汽元象レコードよりリリースされたVsinger・長瀬有花さんのリミックスアルバム「ユカリウム」の総合アートデザインを担当し、配信用ジャケットや告知映像、CDのデザイン、公式ファンクラブのメンバーシップカードなどを制作させていただきました。

ディレクターの方から「ユカリウム」のコンセプトをお聞きしたとき、頭の中に「パビリオン」の風景が浮かび、すぐに制作を始めました。CDのデザインでは、帯のうら面をユカリウムへのチケットにしてみたり、ディスクを外した奥の絵をエントランスの風景にしてみたりと、このアルバムを聴こうとしているリスナーさんが長瀬さんの音世界に入館していくような導入をイメージして制作しました。私自身、コンセプチュアルにデザインすることが好きなこともあり、とても楽しいアートワークとして心に残っています。

長瀬有花リミックスアルバム「ユカリウム」(2024)

meow:もうひとつ印象に残っているアートワークはVtuber・枢オトギ(くるる おとぎ)さんのライブ配信背景空間の制作です。
枢オトギさんのコンセプトは、「みんなの夢に現れて、ひとときの時間、心地よい歌を歌って消えていく女の子」です。そして「月」がモチーフのひとつとなっています。制作中は様々なイメージの共有をしていただき、最終的に「月からの部屋」という空間が完成しました。開いた天窓の奥に星々が光り、雲がゆっくりと流れています。正面には月、砂の波からは鮫(枢さんの好きな海生動物)の背びれを出してみたり、チャームポイントである角を模したアーチを架けてみたりして、枢さんとリスナーさんとのひとときの空間を演出しました。
枢さんは通常、配信背景は2Dの絵を動かして作ることが多いようなのですが、2Dキャラクター×3DCG背景という新たな組み合わせにトライしてみたかったそうです。このアートワークは私にとってVirtualという領域へ一歩進むことができた制作でもあります。

枢オトギ ライブ配信背景空間「月からの部屋」(2024)

Solo Exhibition「YUME EXPO」について

このテーマに設定されたのはなぜでしょうか?またテーマへの想いをお聞かせください。

meow:以前から眠っている間に見ている夢について関心がありました。2022年頃から、自分の見た夢を純粋に描いてみる、「YUME EXPO」というテーマの日記的なドローイングの制作を始めています。今回SHUTLで展示企画をいただいたとき、この個人的な夢の博覧会=YUME EXPOをテーマとすることに決めました。

‘EXPO’は「博覧会・展示」の意味。本展示は「『YUME EXPO』という博覧会の夢の各エリアをいくつか紹介する」という内容であること、SHUTLには大阪万博の時代の歴史的建築の一部が常設されていること、そして2025年に開催される大阪万博までの間でごく個人的なEXPOをするという、3重の意味を含ませています。

YUME EXPO「エントランス」(2025)

meowさんの思う夢とはどんなものでしょうか?

meow:夢とは、その不確定さによって複数の感情や別の風景を同時に心に想起させるものだと思っています。ここが何のための場所か、これは何かということが決まっていないことで、例えば怖くなったり安らいだりする気持ちを同時に感じることがあると思います。また何かを見つめ続けていると時間のスケールが外れていき、一瞬と永遠が同時に感じられることもあるでしょう。現実でもある意味や感情が揺らいだりするときには、「夢」のようなものを感じます。

「夢の万博」を作り出す、とステイトメントにあります。meowさんの作品や表現がどのように生かされた空間になりそうでしょうか?

meow:「夢の万博」と聞くときらびやかで前向きなイメージが思い浮かぶかもしれませんが、「YUME EXPO」を観ていただくとそうではないかもしれません。2025年開催予定である大阪万博への違和感も個展タイトルの由来のひとつでもあります。その状況を見ていると、無理に前向きになってしまっている気がしていて、タイミングや熱量が空回りしているように感じています。本展示は個人の空間や感情を内省する方向で展示してみようと思いました。同じEXPOと名付けましたが、こちらはごく個人的な「心地」を見つめる博覧会です。

制作では、怖かったり悲しかったりなど、自身にトラウマをもたらした夢をモチーフとすることが多いです。例えば月夜の暗い部屋にいてその先に行かなければならないのに、なぜか行けない。その空間の持つ気配に気圧されて動けない…その夢は2019年に「The Room」という模型作品として形にしました。怖さだけではなく、同時に美しさと安心感を感じられることも私にとって重要です。今回のYUME EXPOでは、そういった確定的ではない空間や風景を形作っています。

The Room (2019)

SHUTLについて

SHUTL空間についての感想をお聞かせください。

meow:初めてSHUTLへ伺ったとき、SHUTLに佇むカプセルの様子を見て即座に入室しました。狭さや丸窓のキャッチ―さが絶妙で唸りました。対岸には内側が骨組みだけとなったカプセルがあり、こちらはまた暗く異様な空間で、やはり唸りました。それら2つのカプセルを覆う空間は蛍光灯色の照明が天井に3列並び、壁や床は白を基調とした素材で仕上げられていて、まさにオーセンティックな未来空間です。SHUTLの「伝統と現代の接続を試みる実験場」というコンセプトは、アートスペースとして独自の美学や空気感を感じます。個人的にはスケルトンカプセルの奥にある陽当たりの良い空間が好きです。

展示をする上で、SHUTLの空間がどう活かせそうでしょうか?難しかった点、やりやすかった点があれば教えてください。

meow:SHUTLに設置されているカプセルは日本建築の歴史においてとても貴重なもので、大阪万博が開催された70年代、黒川紀章により設計されたメタボリズムの代表格的建築「中銀カプセルタワービル」の一部分です。本展示では、このカプセルのそれぞれの空間性と作品とのリンクが図れたらと思います。また今回の展示と前の万博、そして今年の万博との関係をわずかにでも持つことができたら幸いです。

今後SHUTLで実践してみたいこと、チャレンジしてみたいアイデアなどがあればお聞かせください。

meow:SHUTLという場所から新たな表現のかたちを見つける滞在制作などがしてみたいです。展示でなくても、映画の上映会なども良さそうだなあと思っています。今後のSHUTLの展開を楽しみにしております。

(PROFILE)

(LINKS)

ミヤオウ(meow)

空間や心、それらの関係をCGやドローイング、音楽として制作しています。

(LINKS)

(02)

関連するイベントと記事

Related Events And Article 合わせてこちらも

(Contact)

SHUTLへのお問い合わせ

Launching Authentic Futures SHUTL

SHUTL is a gallery for exploring new ways of connecting tradition and modernity.

SHUTLは現代の表現者が、伝統と出会い直し、時間を超えたコラボレーションを行うことで新たな表現方法を模索する創造活動の実験場です。スペース利用から、メディアへの掲載、コラボレーションまで、どうぞお気軽にお問い合わせください。

Contact 👉