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【SPACE RENTAL INTERVIEW】KENTO HASHIGUCHI|バッグの「佇まい」を考える、SHUTLでの新作展&POPUP

KENTO HASHIGUCHIによる「新作展&POPUP」が、2026年10月2日(金)〜10月5日(月)、SHUTLにて開催されました。

本展では、新作のレザーバッグや小物、コラボレーションアイテムをはじめ、これまで展開してきたプロダクトのPOP UPを開催。
京都から東京へアトリエを移したKENTO HASHIGUCHIにとって、新たな活動のスタートを告げる展示販売会となりました。

バッグをファッションアイテムであると同時にプロダクトとして捉え、シンプルな造形のなかに個性を宿す、KENTO HASHIGUCHI。
今回の展示では、これまでの制作で培ってきた意匠を受け継ぎながら、新たな素材や構造にも取り組んだ新作が発表されました。

今回は、KENTO HASHIGUCHIのデザイナー・橋口賢人さんに、ブランドを立ち上げたきっかけやバッグづくりへの考え、今回の新作に込めた工夫、SHUTLでの展示を通して得た発見、そしてこれからの活動についてお話を伺いました。

インタビュアー:佐藤 有紗(株式会社マガザン)

まずは自己紹介をお願いします。

橋口賢人(以下:橋口):「KENTO HASHIGUCHI」というブランドを手がけております、デザイナーの橋口と申します。主にバッグを中心としたプロダクトのデザイン・制作を行っています。
大学生の頃にスタートした自主ブランドの活動は、今年で12年目を迎えました。
近年では、企業向けの外部デザイナーとしてのプロダクトデザインや、生産管理などのクライアントワークにも積極的に取り組んでいます。

KENTO HASHIGUCHIを立ち上げたきっかけや、バッグを中心としたものづくりを始めた背景について教えてください。

橋口:単純に「どうやら自分に向いているらしい」と実感したことが大きいです。
学生時代からハンドメイド作家のように作ったものをSNSに投稿していたのですが、初めてバッグを制作した際、それまでに作っていたものとは比べものにならないほどの大きな反響をいただきました。それがきっかけで、まずは5個だけ限定で販売してみたところ、1時間ほどで完売したんです。
今振り返ると、バッグというアイテム自体が「ファッション」でありながら「プロダクトデザイン」の要素も併せ持っており、その両面性が自分の適性や興味にピタリと合っていたのだと感じています。

撮影:KENTO HASHIGUCHI

KENTO HASHIGUCHIでは、バッグを単なる「持ちもの」としてではなく、デザインや表現の対象として捉えられているように感じます。橋口さんにとって、バッグをつくることにはどのような面白さがありますか。

橋口:私にとってバッグはファッションアイテムであると同時に、プロダクトでもあります。
ものを入れて持ち運ぶための道具でありながら、居住空間やインテリアに置いたときにもオブジェのように佇み、きちんと定位置があるような存在であってほしいのです。
室内空間において「佇まいが美しい、愛らしい」と思えるプロポーションと、バッグとして荷物を運ぶという機能的制約。
その2つの狭間でのせめぎ合いや駆け引きに、ものづくりとしての面白さを感じています。

撮影:KENTO HASHIGUCHI

これまでデザインやものづくりに取り組まれる中で、大切にされてきた考え方や価値観があれば、ぜひお聞かせください。

橋口:シンプルでありながらも「KENTO HASHIGUCHIのバッグだ」と一目で分かっていただけるような、シルエットのバランス感や細部への気遣いを大切にしています。
装飾や要素を足し算していくことでアイデンティティを持たせるのではなく、無駄を極限まで削ぎ落としたミニマルな造形の中に、確かな個性を宿らせたいと考えています。

写真:KENTO HASHIGUCHI ATELIER/撮影:KENTO HASHIGUCHI 

橋口さんにとって、KENTO HASHIGUCHIの代表的なプロダクトはどれですか。そのシルエットが生まれた経緯もあわせて教えてください。

橋口:今回ラインナップをリニューアルした中でも、特に継続して人気が高かったのが「FOLD」シリーズの「SHELL」と「OWL」です。
この2つのバッグは、「立体折り紙」から着想したFOLDシリーズの造形美をベースにしつつ、より日常で使いやすい“バッグらしいシルエット”へと近づけることを意識して生まれたモデルです。
実用性と彫刻的な造形美を両立させたデザインが、使いやすさと美しさの両面で、多くの方に支持されているのだと感じています。

写真:「FOLD OWL」/撮影:KENTO HASHIGUCHI 

今回の展示では、これまでのシリーズから新作まで幅広く展開されていましたが、どのような思いや意図を込めてラインナップを構成されたのでしょうか。

橋口:活動拠点を京都から東京へ移したこともあり、ブランドとして新たなスタートを切るような気持ちで今回の新作展に臨みました。
ラインナップとしては、これまで展開してきた「FOLD」シリーズのようなオブジェ性の高いバッグに加え、この春から制作を進めてきたデイリーユースな新作バッグを並べました。
今回で廃盤となるモデルもありますが、それらに宿っていた意匠やエッセンスは、しっかりと新作たちへ受け継がれています。

写真:KENTO HASHIGUCHI POP UP at SHUTL/撮影:SHUTL

新作を制作する中で、特に意識した素材や形、ディテールなどはありますか。

橋口:今回リリースした「FOLD」シリーズでは、バッグとしての完成度とクオリティをより一段引き上げることができたと実感しています。
従来、革を2枚貼り合わせて縫製していたハンドル構造を、三層構造にアップデートして立体感を持たせ、より手馴染みの良いしっかりとした作りに変更しました。
また、金具を一つひとつ革で包み込むことで上質感を際立たせ、部分的に手縫いを取り入れるなど、工芸品のような仕上がりを目指しました。

今回の展示では、京都・西陣織に使われてきた伝統技法「引箔(HIKIBAKU)」を用いたバッグも並びました。橋口さんが感じる、この技法ならではの魅力を教えてください。

橋口:この西陣織の引箔技法は、職人さんが3種類の銀箔を一つひとつ手作業で貼り合わせることで作られています。 プログラミングによる完全なランダムでもなく、かといって作為的にも感じさせない、職人の手仕事が生み出す絶妙なバランス感。
同じトーンや雰囲気を纏いながらも、作品ごとに微妙に表情が異なる箔のシートには、手仕事ならではの不思議な美しさと強い魅力を感じています。

写真:引箔バッグ (×西陣織 -SHOPPER- A4H (銀引箔))/撮影:KENTO HASHIGUCHI 

実際にSHUTLで展示を行ってみて、空間や構造が商品の見せ方にどのような影響を与えたと感じられましたでしょうか。

橋口:SHUTLの空間の広さについては、当初は自分ひとりのブランドで、空間を十分に活かせるのかという不安もありました。
展示のレイアウトが決まり、実際にプロダクトを配置してみると、非常に心地のよいスケール感だと感じられました。
吊り下げ式による独特な展示什器がある空間なので、搬入前はどう活かすか悩んでいたのですが、いざ搬入が始まって什器の棚を外し、床に配置した瞬間「ここにバッグを置くだけで絵になる」と確信し、今回の展示手法を即決しました。

写真:KENTO HASHIGUCHI POP UP at SHUTL/撮影:KENTO HASHIGUCHI 

写真:KENTO HASHIGUCHI POP UP at SHUTL/撮影:KENTO HASHIGUCHI

会期中、来場者の反応や言葉など印象に残っている出来事はありましたか。

橋口:今年前半はアトリエの移転作業なども重なり、実際にお客様と直接お会いして販売する機会をほとんど設けられていませんでした。
そのため、今回の展示販売会が今年初めてのポップアップとなり、そうした背景もあってか、ご来場くださった方々が「直接見られる貴重な機会」として本当に喜んでくださったのが印象的でした。
普段はオンライン中心で活動しているからこそ、こうした生の反応や言葉をいただけることは、今後の制作への大きな励みになります。

写真:KENTO HASHIGUCHI POP UP at SHUTL/撮影:SHUTL

今回の展示では、コラボレーションによるプロダクトも展開されていましたが、今後取り組んでみたいコラボレーションや、デザイナーとして挑戦してみたいことがあれば、ぜひ教えてください。

橋口:私のブランドは基本的に無地のプロダクトが多いため、今回コラボレーションさせていただいたイラストレーターのカワグチタクヤさんのように、他分野のクリエイターの方との協働は今後も継続していきたいです。

また、外部デザイナーとして、プロダクトデザインや量産案件にも精力的に取り組んでおり、今回の展示を通して、そうしたご相談をいただく機会にも恵まれました。

今後もデザイナーとして、ブランドの枠を超え、企業とのクライアントワークや共同開発を積極的に広げていきたいと考えています。

写真:コラボバッグ(×カワグチタクヤ WINE COOLER BAG(ゴースト行進))/撮影:KENTO HASHIGUCHI

最後に、KENTO HASHIGUCHIとして、どのような価値観や姿勢を大切にしながら、ブランドを育てていきたいと考えていらっしゃいますか。

橋口:私自身、同年代の作家や作り手たちの真摯な姿勢からたくさんの勇気や活力をもらっており、だからこそ、自分自身も誰かにとって刺激や前向きな力を与えられるデザイナー、作り手でありたいと思っています。

「こういうブランドがあってもいいよね」というバランス感を大切にしながら、長く続けられる活動になればと思っています。

写真:KENTO HASHIGUCHI POP UP at SHUTL/撮影:KENTO HASHIGUCHI

(PROFILE)

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KENTO HASHIGUCHI

○デザイナー
橋口 賢人 ’93
京都工芸繊維大学 デザイン経営工学課程 卒業

○略歴
2015年 大学在籍中にバッグなどの自主制作を開始
2018年 卒業後、京都にアトリエを開設、「KENTO HASHIGUCHI」を立ち上げる
2023年 クライアントワークやバッグ以外のデザインなど、領域を広げた活動を開始
2026年 アトリエを東京へ移転

○出展
-ディズニーとのコラボバッグリリース
​(松屋銀座「ウォルトディズニーアーカイブス展」にて販売)
-伝統工芸士コラボ「手揉み銀泊ショッパーバッグ」をリリース
​-テレビ東京「シェフは名探偵」バッグ衣装提供
-「MAISON & OBJECT AND MORE 2022」 出展
-京都国際写真祭KYOTOGRAPHIE | KG+とのコラボバッグリリース
-SHOPPE OBJECT 出展(協力・支援: JETRO/SHOWCASE JAPAN)
-BEST OF MOM(Maison & Object and more) に選出。MAISON&OBJET へ出展​
-25th記念ジェイアール京都伊勢丹 Shopper bag(マクミラン/イセタン)を制作
-京都市ふるさと納税の返礼品に選定
-阪急梅田本店1FにてPOP UP 開催​​

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