(REPORT)
はじめまして、SHUTL(シャトル)です
突然ですが、「中銀カプセルタワービル」を知っていますか?
「中銀カプセルタワービル」は、世界的な建築家・黒川紀章(1934-2007)が設計し、世界で初めて実用化されたカプセル型の集合住宅です。1972年(昭和47年)に東京・銀座で竣工し、日本から発信された建築運動「メタボリズム」の代表的作品として知られています。
「メタボリズム」が謳われたのは1960年代の高度経済成長へ向かった時代。急激な都市化、大衆消費社会の到来、メディアの発展などの時代状況に対応し、都市と建築を絶えざる変化のプロセスとして捉えたものでした。建築や都市も新陳代謝をしながら、空間や設備を取り替えながら変化していくべきだという考えのもと、ダイナミックかつ量産・複製可能な建築が生み出されたのです。
画像提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト
画像提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト
それから50年の時が経った2022年、その象徴的存在であった中銀カプセルタワービルは、老朽化により惜しくも解体されてしまいました。しかしその歴史的建築物を後世に引き継ぐべく、ビルを構成していた全140個のカプセルのうちの23個のカプセルは保存・再生され、さまざまな譲渡先へとわたっていくことになりました。そのうち、黒川紀章建築都市設計事務所監修のもと内外装を竣工時に近づけて修復されたカプセル(オリジナルタイプ)と、外装のみ修復されたカプセル(スケルトンタイプ)の2基を、松竹株式会社が譲り受けることになりました。
スケルトンのカプセル内観 撮影:山根 かおり
オリジナルの内装を残したカプセル内観 撮影:山根 かおり
中銀カプセルタワービルが所在した銀座に程近い築地に本社を置く当社は、このカプセルを受け継いで、今の時代に応答したあらたなアート&カルチャースペースをつくることにしました。これがわたしたち「SHUTL(シャトル)」のはじまりです。
新陳代謝するカプセル
東京都中央区の東銀座駅に近接するとある一画。映画や演劇事業を営む松竹株式会社が、同社が有する東劇ビルの隣接地というロケーションに、この中銀カプセルタワービルのカプセルを2基取得し移築することを決めたのは、昨年2022年のことでした。それから、さまざまな準備を経て、いよいよ2023年秋に新スペースのオープンを迎えようとしています。かつて銀座に所在した「中銀カプセルタワービル」のカプセルが、時を超えてふたたび銀座・築地エリアに生き返る、これぞまさに「メタボリズム=新陳代謝」と言えるのではないでしょうか。
未来のオーセンティック
完成予想図(予定)
わたしたちはこのカプセルを移築し収めるスペースを、“SHUTL=シャトル”と名づけることにしました。この秋、銀座・築地エリアにてあらたな歴史を刻むべく“発進”します。
「SHUTL」は、伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場(ラボ)として、「未来のオーセンティック」を生み出すことをコンセプトに掲げています。
宇宙に放たれる飛行体の「シャトル」
無限・自由・夢といったイメージをもつ宇宙に打ち上げられるスペースシャトル。SHUTLから放たれる、個人の自由で既成概念に囚われない表現が、ひろく世に放たれることをイメージしています。
離れた土地をつなぐ往復便の「シャトル」
さまざまな離れた土地をつなぐ交通の「シャトル」。SHUTLがハブとなり、東西の文化や人材が移動し、出会い交わることで、過去と未来、現在の首都と古都をはじめとした他都市をつなぎ、文化を相互輸送します。
織物において縦糸と横糸をつなぐ杼(ひ)の「シャトル」
日本文化を代表する織物生産の過程において、縦糸と横糸を繋ぐには杼(シャトル)が不可欠です。それぞれの分野において長い歴史の中で受け継がれてきた文化や技術を、SHUTLが横断的につなぐことで、新しい日本文化として形づくり、発信する役目を担います。
SHUTLという場所で、現代の表現者が日本文化と出会い直し、自らの表現と伝統を結びつけ、新たな表現方法を模索すること。その出会いと、そこで生まれる実験を通して、伝統文化と現代のカルチャーの融合、そして日本文化そのものの新陳代謝が起きることをわたしたちは期待しています。
SHUTLでできること
ところで、SHUTLはどんなことができるスペースなのでしょうか?
SHUTLでは、オリジナルの企画展示やグッズ販売をおこなうほか、カプセルをレンタルすることも可能です。
SHUTLオリジナルの企画では、松竹株式会社ならびに運営を受託する株式会社マガザンのキュレーションにより、自主企画として当スペースのコンセプトを体現する企画やイベントを展開します。
レンタルでは、カプセルの空間や特徴を活用した、多彩かつ独自の企画が展開できます。作品はその場で販売もすることができ、東銀座エリアだからこそ出会える顧客層との有機的な出会い・交流が期待できます。
ロゴデザインについて
「SHUTL」のロゴデザインは、関西から日本のみならず世界にその存在感を発揮している新進気鋭のデザイナー、三重野龍氏によるものです。
(PROFILE)
三重野 龍 Ryu Mieno
1988年生まれ、2011年京都精華大学グラフィックデザインコース卒業。京都でフリーのグラフィックデザイナーとして活動。美術や舞台作品のロゴデザインや広報物の制作を中心に、文字を軸にしたグラフィックデザインを実践。東京や世界からもっとも注目を浴びる日本人グラフィックデザイナーの一人。
(LINKS)
これから、このロゴデザインを活かしたSHUTLオリジナルグッズも作成・販売していく予定です。ご期待ください!
このnoteでは、SHUTLのオープンまでの様子や、わたしたちがSHUTLで紹介したいと思っているさまざまなアートやカルチャーについて、お知らせしていきます。
どうぞ、SHUTLにご注目ください!
WEBサイト
SNSアカウント
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【スペース情報(予定)】
施設名称:SHUTL(シャトル)
所在地:〒104-0045 東京都中央区築地4-1-8(東劇ビル隣、旧住居表示)
棟数・階数・構造:1棟、地上1階建、鉄骨造
延床面積:88.44㎡(26.75坪)
天井高:4.1m~4.3m
※本記事に掲載されている内容またはパースは現状の想定です。今後変更となる場合がございます。
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SHUTLは現代の表現者が、伝統と出会い直し、時間を超えたコラボレーションを行うことで新たな表現方法を模索する創造活動の実験場です。スペース利用から、メディアへの掲載、コラボレーションまで、どうぞお気軽にお問い合わせください。